ブランドジュリエ Paris通信 「ハーパースバザー」のフランス版創刊

世界で最も歴史あるファッション雑誌
「ハーパースバザー」のフランス版ついに創刊

 

ハーパースバザー・フランス版を購入1

今年2023年2月末、パリファッションウイークに合わせて、
ファッション雑誌の「ハーパースバザー・フランス版」が創刊されました。

ハーパースバザーといえば、今から150年以上前にアメリカで誕生した、世界最初のファッション雑誌。
高級ビジュアル誌の代名詞でもあります。
さすがの老舗だけあって、これまでに世界40カ国以上で出版されたそうですが、意外なことにフランス版は存在しませんでした。
それがこの出版不況のご時世に、いきなりフランス版が誕生するというのですから驚きです。

ラジオのニュースで聞いたところによると、フランス経済はラグジュアリーが絶好調で、
高級ブティックの前には行列ができている。にもかかわらず、宣伝媒体はインフルエンサーだけになってしまっている。
ラグジュアリーメゾンの広告を獲得するなら今でしょ!
ということで、時期を逃さず高級ビジュアル誌の代名詞「ハーパースバザー」のフランス版が誕生した。とのこと。
実はこれまでにも何度か「ハーパースバザー・フランス版」の実現は試みられたそうですが、
その度にアメリカの本部と契約締結に至らなかったのだそうです。原因はなんだったのでしょうね?

話を戻しますと、確かにここ数年、というかおそらくこの10年ほど、
私の身の回りのクリエーターたちも「うまく行っているのはラグジュアリーだけ」と話していました。
ギャラリーラファイエットなどのデパートに行っても、シャネルやディオールなどの
ラグジュアリーメゾンの入り口前には、まるで街のパン屋の店先のようにいつも行列があるのです。
まったく実際のところ、うまく行っているのはラグジュアリーだけ、という印象を受けざるを得ません。

ハーパースバザー・フランス版を購入2

そして株式市場を見れば、それは明らかなことなのです。
うまく行っているラグジュアリーメゾンから広告を取るなら今だ!と、
「ハーパースバザー・フランス版」が誕生した、誕生できた、ということにも納得できます。

新しく編集長が迎えられ、ジャーナリスト20名以上が就職した、とニュースで聞き、
この業界のはしくれで仕事をしている私も嬉しくなりました。
廃刊続き、不況続きだった雑誌業界にとっては、大きな朗報です。本物のカメラマンにも活躍の機会が与えられれます。

街角のキオスク1
街角のキオスク2
街角のキオスク3

どんな誌面に仕上がっているのか? 興味があったので、先日4月号を購入しました。

雑誌を買うのは、昔も今も街角のキオスクです。日本と違って、フランスの本屋は雑誌を販売しません。

新聞や雑誌、ポストカード、キーホルダーなどがずらりと並ぶキオスクの店頭。
インスタントコーヒーやチョコレートバーを売っていたりもします。キオスクの風情、パリらしくていいですよね。

雑誌1
雑誌2

「ハーパースバザー・フランス版」は、従来の高級ビジュアル誌らしく、光沢のある紙を使っていました。

その隣に「シルエット」という、聞いたことのないファッション雑誌が並んでいました。
こちらの方は、最近よく見るスタイルの雑誌で、分厚く、手触りのいいマットな紙です。
対照的だなと思い、「シルエット」も購入しました。

左「ハーパースバザー・フランス版」、右「シルエット」

左が「ハーパースバザー・フランス版」、右が「シルエット」です。

ハーパースバザー・フランス版

「ハーパースバザー・フランス版」の中の、ファッションショーのあり方についての記事。

コロナ禍のロックダウン中に、ジョルジオ・アルマーニ氏が宣言した
今後のコレクションについて、ファッションショーについての決断を思い出します。

誰もが気になっている問題。。。
それを正面から取り上げているところには共感します。

シルエットの香水特集

「シルエット」の香水特集から。個人的にはマットな紙質と、読みやすく親しみやすいフォントが好きです。

高校生の頃、雑誌の発売日だけを心の支えに日々を送っていたくらい、雑誌を見るのが好きでした。
当時のお小遣いでは欲しい雑誌を全て買うことはできず(今でもできませんが)、
厳選して1冊か2冊だけ買って、ほかはとにもかくにも立ち読みしました。

あの頃の私にとって、雑誌の中には初めて見ること・知ることがたくさん詰まっていました。玉手箱のような存在?

インターネットでいくらでも、無料で情報が手に入る現在、もし雑誌を買うならなんのために買うだろう、と考えます。
情報(内容)はもちろんですが、やはり手にとる喜びが重要になる気がします。
それは手触りだったり、身近に置いておきたいデザインだったり。

帰り道の噴水

皆さまはどうでしょう?
インテリアの情報こそ雑誌がいいですよね。
ページをめくりながら、自分で整えたテーブルでお茶を飲む。最高だと思います。

 

それではまた、
アビアントー!

Keiko SUMINO-LEBLANC

 Keiko SUMINO-LEBLANC
 パリ在住ライター・コーディネーター 日仏語翻訳者

 1997年からパリに移住。
パリでの結婚・子育てを経て
フリーランスライター・コーディネーターとして活躍中。食とライフスタイルを専門とするジャーナリストとして、
フランス、日本の数々の雑誌・メディアに寄稿。また、翻訳家として単行本も共著。

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